
痴漢事件 起訴・不起訴の決定
それでは、痴漢事件の連載を継続します。本日は、勾留満期後の起訴・不起訴の決定です。とりあえず、今回で、被疑者の段階は終わり、起訴されれば、被疑者から被告人と呼ばれる地位にかわり、不起訴となれば、釈放です。
起訴・不起訴の決定
勾留満期が近づくと、検察官としては、起訴・不起訴の判断をしなければいけません。
もし、捜査の結果、否認している被疑者の言い分が認められるか、被害女性が嘘をついているか、記憶があいまいなどの理由で言い分が紆余曲折しており、裁判を維持することができないと判断した場合には、不起訴となることもあります。
不起訴については、事件事務規定で20種類ほど規定されていますが、痴漢事件で関係が強いのは、「罪とならず」、「嫌疑不十分」、「起訴猶予」「親告罪の告訴の欠如・無効・取消」となります。
これらは、被疑者が犯行を自白しているか、否認しているかによって、どれが適用されるかがかわってくるので、ここでは分けて説明します。
被疑者が犯行を自白している場合
「親告罪の告訴の欠如・無効・取消」は、親告罪の告訴は、訴追条件とされているので、親告罪の場合、告訴が取り下げられれば、検察官は起訴することができません。
強制わいせつ罪は、親告罪ですので、告訴が取り下げられれば不起訴になります。
つまり、自白事件の痴漢弁護の主たる業務は、被害女性と示談して、告訴を取り下げてもらうことになります。
迷惑行為防止条例違反は親告罪ではありませんので、告訴の取り下げといった概念はありませんが、弁護人としては、同様に、被害女性と示談をして被害届を取り下げてもらうことが主たる業務になります。
検察官は示談しても絶対に起訴しないとは約束しませんが、経験上、示談をして、起訴されたということはありません。ただ、同種前科が、3犯以上あるときは、起訴されてもおかしくないでしょう。これは、次の「起訴猶予」の問題です。
「起訴猶予」は、「被疑事実が明白な場合において、被疑者の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないとき」とされています。
つまり、被疑者は痴漢行為をしたのは、間違いないけれども、初犯だし、態様も軽微だから許してやるか、ということです。
ただし、被害女性と示談が成立していない場合に、起訴猶予となる例はほとんどないといってよいと思います。この場合は、略式起訴によって処理される例がほとんどです。
なお、犯行を否認している場合には、反省の態度はないのですから、「犯罪後の状況」を理由として、不起訴処分にすることはできません。
被疑者が犯行を否認している場合
「罪とならず」とは、「被疑事実が犯罪構成要件に該当しないとき又は犯罪の成立を阻却する事由のあることが証拠上明確なとき」、と規定されていますが、要は、その名のとおり、被疑事実について犯罪にならず無罪ということです。ただ、「罪とならず」で不起訴処分されることはほとんどありません。一度、嫌疑があったとして逮捕した以上は、「罪とならず」とはとてもいえないのでしょう。
「嫌疑不十分」は、「被疑事実につき、犯罪の成立を認定すべき証拠が不十分なとき」とされています。被疑者が罪を犯したと疑われるけれど証拠がそろっていないから起訴しない、というものです。
犯行を否認していて、不起訴になるのは、嫌疑不十分の場合が多いといえます。
カテゴリー: 痴漢事件 - 2009年9月17日


